• 背景
  • メモアプリの用途
    • 日記
    • 作業ログ
    • アイディアの記録
    • 面白話題の記録
  • 必要な機能
  • 試したアプリ
    • Evernote
    • Notion
    • Apple Notes
    • Google Keep
    • Obsidian
    • Trello
  • Dynalist をどう使っているか

背景

このエントリでも言及したように,今年は大学院卒業してから週の半分以上は完全に自由に使えた. さらに週 3 日のバイトでも大きい最良を持たせてもらっていたので,去年までの大学でとりあえず授業を受けて,修論を書いておけばよかったころと比較して, 真っ暗闇の中,自分で道を整備しながら進んでいく必要があった..

こんな一年も終わりに近づいてきた. 今,振り返ってみて,この一年はこれまでに比較してもノート(紙も電子も)を多用してきたように思う. 紙のノートも好きなので,そちらも別エントリで言及したいが,今回は電子ノート (アプリ) に対象を絞る. 自分はほとんどの時間を PC 上で過ごすので,アプリと言ってもスマホ上のものではなく,PC で試してみたものをメインに考える.

用途

メモアプリと一口に言っても,用途に応じてそれを眺める視点は大きく異なる. 自分のメモアプリの用途は主に以下の 4 つである.

  • 日記
  • 作業ログ
  • アイディアの記録
  • 面白話題の記録

日記は毎日このドメインに投稿しているもので,それの下書きをするためにメモアプリを使っている. これは特殊なテキストではなくてただのプレインテキストなので,特にどのアプリを使うかはあまり縛られない. 重要なのは,下の 3 つである. まず,「作業ログ」は自分の脳のキャパシティが低いので大事な用途である. 自分は短期記憶が(多分長期記憶も?)弱いのか,プログラミングとかの方針立ての作業をしていると,その作業をしている最中であっても 一瞬気をそらすと直前まで自分が何をしていたのかすぐに忘れてしまう. さらに,少し複雑なことをしようと頭を使っていると,すぐに脳内がガチャガチャして迷走してしまう. これらを解決するために書いているのがこの「作業ログ」である. 具体的に何をどんなことを書いているかというと,

- 関数 A の改善
  - 同一関数で実装されるべきでないものがたくさん入ってしまっている
  - これらを分割して他の関数に切り出さなくては,
  - 以下を切り出す
    - datetime の処理をしているところと,
    - データを集計しているところ
  - datetime はできた
  - データ集計のところの実装方法がわからん
    - ref をみたら解決した
  - [ ] テスト書いたら pr 作る
  - ...

内容は適当に今書いたものだが,こんな感じになる. 忘れないために書いているというよりは,迷走して無駄な作業をしたり変な結論にならないように自分の頭の整理をするために書いている. この作業ログは大学院で研究を始めた時くらいから行っているのだが,テキストをタイプする時間を考慮しても,思案に費やす時間が大幅に減るので結果として良い時間節約術になっている.

次の用途としての「アイディアの記録」は別にたいしたものではなくて,個人開発やブログ記事のネタ,さらには研究関連のアイディアを簡単に走り書きするためのもの. これは量としてはたいしたことではなくて,大抵のものは一行,それを少し膨らませても数行足すくらい. たまに見返して,面白いものがあったときは物理ノートに移動してさらにそれを膨らませたりしている.(自由に思考するにはまだ物理ノートの方が圧倒的に良い.)

次の「面白話題の記録」は言葉の通り,日々のニュースや白昼夢の中で見つけた「これは友人と議論したら面白そうだな」と思ったトピックを記録するというものである. このコロナ状況下で,友人ともこの一年ほどほとんど会っていないが,その代わり,いくつかのグループの友人らとほぼ毎週オンライン定例をしている. そしてオンラインで雑談しようとすると,「その場のノリ」がないので,ある程度固まったトピックがあると話を楽しみやすい気がする. この「面白話題の記録」はこのような場面で役に立つ. 多くの話題はたわいもないものだが,このようにストックを持っておくことで話すトピックにこと書いたことはない. 最近メモったものには以下のようなものがある,

  • 最新の都市に欲しい機能
  • 良いお金の使い道
  • 散歩好きは都会ではなく田舎に住むべき

など. たいしたことではないがメモしておいて欲しい時にすぐ引き出せることが大事.

これらの 4 つのメモの対象を見てみると,どれも長文を書くというよりは,細かい文章をたくさん書く目的であることがわかる. この用途が,本記事でおすすめしたいアプリとの相性が非常に良い.

最後に,これら全ての用途をまたいでの要望として,「それぞれの内容を別の場所(ページ)にではなく,日毎のエントーリに含めたい」というのがある. つまりノートアプリ内のページの構造が

  • 日記 のページ
    • 2020/12/12
    • 2020/12/13
  • アイディア のページ
    • アイディア A
    • アイディア B

となるのではなく,

  • 2020/12/12 のページ
    • 日記の内容
    • アイディア A
  • 2020/12/13
    • 日記の内容
    • アイディア B

となるイメージ.

この構造にすると情報整理的にとても便利,というわけではなくて,ページ間の移動が少なくとも一日の中では発生しないので書きたい時にすぐかける. 自分は後からノートを見返すのが好きなのだが,その時に,時系列で並んでいるとその時に自分が考えていたことがわかって面白い,という理由もある. 前述した通り,内容は特別大切なものではなくて,どちらかというと書くことに意味があるので,一番重要なのは書き始めるまでのスピードである.

必要な機能

ここでは上記のいくつかの用途を支えるのに必要な機能を考える. が,別に特別なコンテンツ(ファイルや画像)を置いたり,特殊な文字列を書いたりするわけではなく,ただのテキストをすらすらかければ良いだけである. なので,あるは UI の差異方法くらいで,は違えどほとんどのアプリで要件を満たすことができる. マルチデバイスでクラウド経由で共有,ってのは結果として付属しているアプリを多く試してきたが,対応していなくても dropbox を使えば plain text を vim で編集でも実現できる. なので絶対に必要な機能は「特にない」ということにする. 特別必要な機能がなくても,前説でも触れたように,「細かいメモを素早く取れる」ってのは重要である. ちょっと書くためにファイルを毎回作成したりするのはめんどくさい. あとは,「一覧のしやすさ」である.毎日エントリーを作成してその中にログやアイディアを書いていくので,過去を振り返る際に一覧性が高いと都合が良いこと. Dynalist は他のアプリに比べてこの辺の UI が非常に優れている.

試したアプリ

Dynalist の話に入る前に,以前,どのようなアプリを試したことがあるのかについて言及したい. ここで紹介する試したアプリは,この記事を書くために簡易的に試した,というわけではなくて大学入学してからの 8 年で試行錯誤を繰り返してきた結果通ってきたものである. なので,試験的に使ったとかではなくそのほとんどをガッツリ試しているのでそれぞれの特徴をしっかり理解した上で使ってきたつもり.

  • Evernote
  • Notion
  • neovim, markdown, dropbox
  • Apple Notes
  • Google Keep
  • Trello

上の 5 つは自分にとってほぼ同じアプリのようなものになる. 階層構造をいい感じに作りたいわけでもなく,動機が重要でも,いろんなカスタマイズをしたいこともないから. これらは機能として問題があったり,不足があったわけでもない. Evernote と Notion は多機能で楽しいのだが,自分には不要だし,同期や起動が少しもっさりするのが気になった. neovim スタックは慣れているし便利なのだが,日本語をたくさん書くのに各種モードを切り替えるのがめんどくさい. Apple Notes と Google Keep は軽量化でストレスが少なく,この中では一番自分の用途に合っている気がする. Trello はアプリとしてはよくできているもので,自分も過去に複数人でプロジェクトを進めていた時に非常にお世話になった記憶があったが, あくまでメモアプリではないため,いろいろ工夫してみた気がするが,うまく用途に合わせて使うことができなかった.

Dynalist の特徴

ようやく本記事のメインである Dynalist である. Dynalist はアウトライナーと呼ばれる種類のノートアプリの一つであり,類似製品としては WorkFlowy というものがあるらしい. 自分は WorkFlowy を知らなかったが,こちらの方が古株で Dynalist が後続であり,前からアウトライナーを使ってきた人たちが,Dynalist に流れている雰囲気がありそう.

アウトライナーと呼ぶとかっこいいがつまり「箇条書きアプリ」である. つまり,箇条書きをするために特化したメモアプリであり,上で触れたメモアプリのように,「文書」を書くことはその主用途として想定されていない. これだけ聞くと,Notion で箇条書きでもいいわけだが,WorkFlowy や Dynalist はその「箇条書き」を書きやすく,さらに閲覧しやすくするために工夫をいろいろしている.

箇条書きと言えど奥が深く,そのための機能がたくさん実装されている. その中でも気に入って使っているものをいくつか紹介していく.

  • ハッシュタグ機能
    箇条書きなので,基本一行に 一情報.自分の場合,日付である親要素の下にたくさんの情報・ログを毎日書く. 上であげた用途である「アイディアの記録」や「面白話題の記録」もこの子要素として含まれる. このように毎日のエントリの中にそれらを書いていくと,後から,「どんなアイディアをこれまで書いたか見たい」となった時に,たくさんある箇条書き要素の中から該当するものだけを見ていくのは骨が折れる. が,Dynalist はハッシュタグをサポートしており,アイディアを書いた一行に,#idea と書き加えておくと,後からそのハッシュタグのある要素のみを抽出して表示してくれる機能がある. これをうまく運用することで,「雑談の話題が欲しいな」って時には,#topic と検索すると,その一覧を一瞬見て話を始めることができる. また,小さいところなのだが,対象のハッシュタグがついている要素のさらなる子要素もその一覧画面で一緒に表示してくれるのが便利. 例えば #idea を細かく説明するようなメモをその下に書いていたらそれも一緒に見ることができる.
  • アプリ内リンク機能
    これは箇条書きと直接関係はない気もするのだが多用するので紹介する. 毎日,作業ログを書いていると,ある時間をとるタスクを消化するのに日をまたぐことは良くある. その時に,昨日書いた要素をまた今日のところに書くのはめんどくさいし,昨日から継続して作業しているという情報が失われてしまう. さらには,昨日の分の要素の下にメモをしていたりすると,その参照とかよくわからなくなってしまう. これらの問題を Dynalist はスマートに解決してくれる. このアプリ内リンク機能を使うと,今書いている要素から,対象の他の要素(ex, どうタスクに取り組んでいた昨日の記録)へのリンクを簡単に貼ることができる. 貼ったあとは,それをクリックするだけでその該当箇所に飛ぶことができる. さらに,このリンクの作成方法が非常にシンプルで,キーボードだけで完結するのも,筆を留める必要がなくストレスレスである. 使うにはただ [[ と入力して,出現した検索窓で該当要素を文字列検索し,リンクを貼りたいもの選択するだけである. 検索時に少しもっさりするものの機能の便利さを考えたら許容範囲である.
  • リスト折りたたみ / フォーカス
    小さい機能なのだが集中して思考するためには一役買っている機能.折りたたみはその名の通り,見る必要のないリストの子要素を全て畳み込んで,上の親要素だけを表示することができる機能. フォーカスは,ある親要素を選択して,それ以外を一時的に隠すことでそのアイテム以下で集中して追記・編集をすることができる機能. 毎日たくさんのアイテムを箇条書きで作っていくと,画面いっぱいに文字が並ぶことになるのだが,その状態で思考しながらさらにアイディアを出していくのは,少なくとも自分には難しい. すぐに自分が少し前に書いた他のアイテムに目がいってしまう.が,この機能を使うことで,集中して考え事をしたい時には他の情報を隠して作業することができる.

他にも細かいものがいくつかあるが,自分にとって重要な機能はこれくらいである.

まとめ

いつものことなのだがダラダラと書いてしまった. 要点をまとめると

  • 頭がゴチャるので作業ログは便利
  • ログには箇条書きが便利
  • 箇条書きには Dynalist が便利